3つの宝箱

私にとっての3つの宝物といえるプロレス・映画・学生時代の思い出や、日々の雑感を語るブログです。

「なごり雪」を聞くと思い出す情景

 よく「歌の歌詞のような」とその時の光景を表現することがあります。みなさんは、そういう場面に遭遇したことが、ありますか。私はあります。
あのイルカの名曲「なごり雪」そのものの場面に。
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 今から30年近く前に付き合っていた彼女がいました。元々は近くに住んでいたのですが、彼女の父親が転勤になり、遠く離れることになりました。
しばらくは、遠距離恋愛で付き合っていたのですが、会える回数が減り電話も減りしばらくしてから彼女から「好きな人が出来た。」と連絡が入り、別れることになりました。

 この時は「仕方ないな」という気持ちより裏切られたという思いが強く、彼女のことが許せませんでした。
 「友達としては付き合っていたい。」という彼女の言葉を受け入れられず、絶縁しました。

 それから1年半の月日が経過した時、その彼女の友達から私に会いたがっているということを聞きました。
 まだ彼女のことを許せずにいた私は、当然断りましたが、するとその彼女から「どうしても会いたい。」という手紙が来ました。
 それも無視しているととうとう直接電話がかかってきました。
電話で久しぶりに話をすると彼女は、結婚していました。その結婚相手と上手くいってなくて、私に会いたくなったとのことでした。
(勝手なことをいうな。)と苛立ちを覚えましたが、つらそうに話す彼女が哀れになり1度だけ横浜で、会うことになりました。
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 久しぶりに会う彼女は、以前の黒髪から少し髪の毛が茶色ががっていました。微妙な変化を感じとり、時の流れを感じました。
「変わってないね。」彼女は開口一番そう言いました。私は変わっていなかったのでしょう。
一緒にいる間ほとんど会話はありませんでした。

 昼御飯を一緒に食べた時に彼女が一言ポツリと
「後悔している。」とつぶやきました。
私は、何も言いませんでした。いや言えませんでした。(今さらそんなこと言っても遅いんだよ。)と言うのが、偽らざる心情でした。

 昼御飯を食べた後も会話はないまま、二人で買い物やお茶を飲んだりしているとすぐに夕方になり
彼女が帰る時間になりました。

 JR の駅に彼女を送り届ける間、彼女はほとんど私の方を見ませんでした。
やがて、彼女が乗る電車がホ―ムに入ってきました。その時外は雪が降っていました。
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彼女が電車に乗り込み、電車が発車するとそれまで私の方を見なかった彼女が窓に顔をつけて、私の方を見ていました。
そう「なごり雪」の歌詞のように、「動き始めた汽車の窓に顔をつけて何か言いたそうに。」
 私が見えなくなるまで、ずっとこちらを見ていました。
あの時の彼女の切なそうな表情は今でも目にやきついています。

 その後彼女と会うことは一度もありませんでした。あの時彼女が何を言いたかったのかは分かりません。ひょっとしたら別れる時にあったのかもしれないボタンの掛け違いを彼女は直したかったのかもしれない。

 でも私にはそれを受け入れることは出来ませんでした。裏切られたという思いが強かったからです。
今となっては彼女が何を言いたかったのかは、分かりません。どんな言葉があっても二人がやり直すことは出来なかったと思います。

 ただ雪を見ると今でもあの時の情景を切なく思い出します。

最後まで読んでいただきありがとうございました。