3つの宝箱(あるいは思い出という名の公園)

私にとっての3つの宝物といえるプロレス・映画・学生時代の思い出や、日々の雑感を語るブログです。

あしたのジョーについてその6(ジョーを取り巻く人々、西寛一)

マンモス西こと西寛一は、ジョーが心を許せる友人であり、家族のような存在です。
二人は、ジョーが最初に送られた鑑別所で出会います。西は、そこのボスとして君臨していたのですがジョーの徹底したシャブの連打にやられてしまいます。
以降少年院と丹下ジムとジョーと西の付き合いは、ずっと続きます。
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西は、本質的には臆病で周りの状況をよく見て行動します。鑑別所でこそ、尊大な態度をとっていましたが、その他の場所では常に周りに気をつかい発言したりしています。
特等少年院に送られるからには、それなりの悪事を働いたのでしょうが、普通の人の感性を西は持っています。それが後に林屋の商売で生かされます。

西と言うと必ずジョーファンの間で話に出るのは、「うどん事件」です。
厳しい減量に耐えきれなかった西が、夜中にこっそり屋台のうどんを食べに行きます。それをジョーに見つかり殴られ鼻からうどんを出すという、ある意味伝説の場面です。
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この時ジョーは、西を容赦なく攻めます。
「わ、わいはあかん。ダメな男や。」という西に対し
「そうさ、お前はダメな男さ。男のクズさ。恥を知るがいいぜ、恥を!」
と徹底的に罵倒します。何もそこまで言わなくてもという言い方ですが、それだけジョーは、西に裏切られたという思いが強かったのだと思います。
同じボクシングの世界で生きていくと思った西の裏切りが、悲しく悔しくてのジョーの言葉だと思います。
私はこの「うどん事件」に西の本質があると思います。前述したように西は普通の人としての感性を持っています。つまり逆に言うとハングリー精神が必要とされるボクサーには向いていないのです。
そもそも西は、本当にボクシングをやりたかったのでしょうか。
おそらく西は、ジョーとつながっていたくてボクシングを始めたのではないでしょうか。
そのためジョーや力石ほどのボクシングに対する覚悟を持っていなかったのです。

この後西は拳を骨折したこともあり、ボクシングを辞めますが、それで良かったと思います。
西にはボクサーとしての才能はありませんでしたが、普通の人として暮らす才能はあったのですから。

林紀子の回で書いたように二人は、結婚します。
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紀子は、披露宴での様子からまだジョーへの思いがあったのではと推測しました。
では西はどうでしょう。紀ちゃんのジョーへの思いに気がついていなかったのでしょうか、
披露宴の舞い上がった様子では、気がついていないようにも見えますが、私は当然気づいていると思います。紀ちゃんがジョーへの思いを吹っ切れていないのを知りつつ、それでもいいと紀ちゃんと結婚したと思います。
「紀ちゃんがまだジョーのことが好きなんは分かってる。それでもいいからわいと結婚してくれへんか。ジョーへの思いも含めて、わいが紀ちゃんを全部受け止める。そして必ず幸せにしてみせる。そやから、わいと結婚してくれ。」
こんな感じでプロポーズしたんじゃないでしょうか。結果的に時間はかかったかもしれませんが、二人は幸せに暮らしたと思います。
西は人の感情の機微を理解し、商才があるので林屋も発展したに違いありません。
ジョーの登場人物の中にも、幸せな人生を送った人がいても、いいのではないでしょうか。

最後まで読んでいただきありがとうございました。