3つの宝箱(あるいは思い出という名の公園)

私にとっての3つの宝物といえるプロレス・映画・学生時代の思い出や、日々の雑感を語るブログです。

あしたのジョーについてその2(ジョーを取り巻く女性達、林紀子)

あしたのジョー」には全編を通じて、主要な女性キャラクターが二人登場します。
一人は白木財閥の令嬢であり、白木ボクシングジムの会長でもある白木葉子
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もう一人は、前回述べさせていただいた、ちばてつやが考えた乾物屋の林紀子です。
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二人は、共にジョーに思いを寄せているのですが女心に疎いジョーにはそれが伝わりません。
ボクシング一筋のジョーは、そもそも女性に関心がありません。
そこに二人の苦悩があるわけです。
今回は乾物屋の紀ちゃんについて書かせていただきます。
少年院から出所したジョーは、マンモス西と共に丹下段平の紹介で、近所の乾物屋で働きます。
紀ちゃんは、そこの一人娘です。外見はジョーが白木葉子と身間違えるくらい二人は、似ています。
白木葉子が、誰もが見とれる美女なので紀ちゃんも当然美女ということです。

紀ちゃんは、当初からジョーに思いを寄せています。最初は明るく屈託なくジョーに接しているのですが、その内ボクシングに取りつかれたようにのめり込むジョーの身を案じます。

ある日ジョーに公園に誘われた紀ちゃんは、ボクシングをやめないかと提案します。ジョーが、このままボクシングを続けると、いつかジョーの身に何かあるかもしれないことを心配してのことです。また若いジョーが、全く青春を謳歌出来ていないことも憂いての発言です。
それに対しジョーは、
「紀ちゃんの言う青春を謳歌するということは、違うのかも知れないけど、俺は燃えるような充実感をリングの上で味わってきたよ。そこいらの連中みたいに見てくれだけの不完全燃焼じゃなく、真っ赤に燃えるんだ。後には、真っ白な灰しか残りゃしない。」
伝説のラストに繋がる、名セリフを答える訳ですが、紀ちゃんは、「私ついていけそうにない。」とジョーとの決別を決意します。
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おそらく紀ちゃんは、ジョーにボクシングをやめてもらい自分と二人で平凡ではあるが普通の幸せな暮らしをしたいと思っていたはずです。
ところが、ジョーと話すうちに自分とのあまりに深い溝を実感したのでしょう。
(この人には普通の暮らしは出来ないし、そういう考え方も出来る人ではない。)
ジョーのボクシングに生き、ボクシングに殉ずる覚悟を確認し「ついていけそうにない。」と別れを告げたのだと思います。
ジョーが、どこまでその紀ちゃんの思いを理解していたのかは、分かりません。
ただジョーは、紀ちゃんと別れた後、狂ったようにボクシングの練習に打ち込みます。
ジョーなりに、紀ちゃんとの隔たりと住む世界が違うということを感じ、練習にのめり込んだと思います。

紀ちゃんは、この後ジョーの同僚のマンモス西と結婚します。
その披露宴にジョーも出席し、スピーチをするのですが、それを聞く紀ちゃんの表情は凄く冷ややかです。無表情と言い換えてもいいかもしれません。
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恐らくこの時も紀ちゃんは、まだジョーが好きだったのでしょう。しかし自分と一緒に普通の人生を歩むことはジョーには出来ない。
それで、普通の人生が歩めるマンモス西を選び結婚した。
紀ちゃんの無表情の裏側には
「あなたが普通の人生を歩めないから、私はこの人と結婚するのよ。あなたがボクシングを捨ててさえくれたら・・・・」という思いがあり、その思いをかみ殺すために無表情になっているのではないかと思います。
じゃないとあの表情の理由が、説明がつかないんてすよね。
紀ちゃんのジョーに対する女の情念が、感じられ少し怖くも感じます。
もちろんジョーと同じように女心に疎い私の想像なんで、的外れかもしれませんが。

最後まで読んでいただきありがとうございました。